大阪府の多くの地域では葬儀の際に使う香典袋に黄白の水引が使われています。通常は黒ですが、全国的に見て関西圏だけでしか見られないようですが、黄色と白色を使うことが多いです。由来は定かではありませんが、「喪」を表す色が黄色だったことから使われ始めたという説があります。
また珍しい風習としては、友引の日に葬儀を行う場合はいちま人形という、身代わりを棺に入れて供養をします。これは友引が「友を引く」ということから、死者がその友達を一緒に市の世界へ連れて行ってしまう、という考えから始まった風習と言われています。
人形を入れることで、その人形が身代わりになってくれるということで、ダジャレとはいえ、大阪では多くの人が未だ風習として行っています。他に、「逆さ事」という風習があり、例えば屏風をひっくり返してみたり、ぬるま湯を作るのに水にお湯を入れてみるなど、普段の生活とは違う日常を作ることで、死と日常を切り離したいと願うというものがあります。
大阪府の葬儀は特殊です。日本の国土の中でも大阪は東京都に次ぐ近代都市であり、ビジネスエリアとしても国内屈指の土地ですが、お葬式やお通夜、告別式といった儀式に関しては古くからの文化・風習が根強く残っていますので、ほかの地方から訪れた参列者などは驚きを感じるかも知れません。
大阪府は昔から商売が盛んな地域ですので、商売仲間やお得意様関係の集まりが盛んでした。お葬式などでは、その業者間、同業者といったビジネス関係の方々が一同に集う日になります。人が亡くなったというネガティブな印象のある出来事を、プラスに展開し、その死を送る残された人々にプラスに働くイベントとして転化させるポジティブ性が非常に強い土地柄といえるでしょう。
そのため、雰囲気は決して暗いものばかりではなく、明るく、和やかな雰囲気があることもあります。